この度町より、緊急で井戸を修復出来ないかとの相談を受けた。
消雪用の井戸だが、井戸パイプが破れていて、そこから砂が流入しているとのことだ。
このような場合、たいがい別の場所に井戸を掘り直すものだが、スペースやあらゆる条件の関係で新たに井戸を掘るのは無理とのことであった。
町は何とかこの冬に間に合うよう修復をしたいとのこと・・・。
そこで当社は破損している既設井戸パイプと新しい井戸パイプを入れ替えする方法の提案を行った。
その方法とは、特殊ケーシングパイプで既設井戸を被せて撤去するという工法である。
手順は次の通りである。
1.ボーリングマシンを使い、特殊ケーシングで既設井戸パイプを被せていく。
この被せるという作業は見た目よりも大変難しく、特殊なノウハウと技術を要する工法であり、φ200mmの既設井戸深さはGL-20mであるが、途中で破損により千切れることなどないよう慎重に作業を行った。
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2.約2日掛けて既設井戸パイプは特殊ケーシングの中に納まった。
そして既設井戸パイプを慎重に引き抜いていく。
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既設井戸パイプを抜き上げてみるとかなり破損が激しいことが分かる・・・
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3.新しい井戸パイプを特殊ケーシングの中に挿入する。
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4.新井戸パイプを20m挿入完了後、被せた特殊ケーシングを20m分全て抜き上げ新井戸パイプのみを地中に残す。 下の写真は特殊ケーシングを引き抜いている様子だ。
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特殊ケーシングの抜き上げは完了し、新井戸パイプに置き換えることに成功。
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4.汚水が入らないよう遮水工を施し、新井戸パイプ内を洗浄して、ポンプを挿入。
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5.揚水試験(汲み上げ試験)を行った。
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砂の流入も無くなり、井戸は完全に復活した。
作業スペースの制限や道路通行規制期間の制限など、極めて限られた条件化での施工を強いられたが、綿密な計画と確かな技術により予定通り工事は完了した。 融雪装置としてこの冬も普通に稼動することが可能となった。
メンテナンスの程度にもよるが、井戸パイプもいつかは老朽化するものである。
完全に新しくやり変えるのではなく、なるべくある物を生かし修復し再生するというやり方は今のニーズには大変マッチしている考えである。
しかし、この方法も全ての井戸に可能であるとは限らない。 井戸の構造や地質によっては不可能な場合もあるだろう。
ただし、井戸が老朽化した場合の新たな選択肢の一つとして考えていただければと思っている。