今年の雪はしつこさを感じる。
この冬を考えて昨年大村薬局さんは駐車場に消雪装置を完備した。
それまではエンジン付き小型除雪機で除雪を行っていたが、地下水の魅力に取り付かれ、とうとう掘ることを決意された。
井戸を掘ったのは約1年前になるが、その土地で良い水を出すことは正直結構な冒険であった。
社長はその掛けに打って出たのだ。
工法は掘削中容易に水質や水量をチェック出来るダウンザホールハンマー工法で行った。
以前紹介したが、チリの落盤事故救出で掘られた工法である。
作業は毎日夜遅くまで続いた。
豊富な地下水が確認されたことから、50mで掘削は完了とした。
掘った孔には仕上げの井戸パイプを挿入する。
挿入後は何箇所かのカナケの濃い帯水層を遮断するためのセメンチングを施した。
セメントが硬化するのを数日間待ち、待ち遠しかった揚水試験の日が来た。
見事な水量だ。
5.5kwの水中ポンプでも汲みきれないほどの湧出水量で、特に驚いたのはカナケが薄かったことだ。
幾分かのカナケは覚悟をしていたのだが思いのほか良質だったことに両手を上げて喜んだ。
更に温度も20℃と高く、消雪にはとても申し分のない結果であった。
”水の出る場所には福が来る”と言っているが(私の中で)、大村薬局さんには益々明るい未来が待っているでしょう。
その後舗装に消雪装置を設置し、雪対策は万全な状態となった。
除雪の苦労が無くなったことは勿論だが、大雪の日でも患者さんに快適に通って頂けるというのがこの仕事の一番の遣り甲斐である。
また、「あそこの駐車場はスッキリとしている あそこなら雪が無い 行くならあそこが良い。」と、消雪装置がお店の付加価値となってくれれば尚有り難い。
是非皆さまも消雪井戸を検討していただきたい。
ちなみなここは庭にも水を撒けるようにしており、災害時用に手押しポンプも設置した。
もしもの時にも井戸は役立ちます。
この地区に豊富な地下水が眠っていたということと、実績が作れたことは当社にとっても大きな財産となった。
ところでこの大村薬局は鳥取で一番古い企業であり、薬局としては日本で2番目に古い薬局であるということは知っていただろうか。
藩祖池田光仲候に付き添い1632年(寛永9年)から約400年弱に渡りこの地で創業を続けていおり、現社長で18代目となる。
鳥取博物館に収蔵されている資料によると、歴代の藩主に貴重な生薬等を献上していたそうで、鳥取の伝承薬「練熊」を紀州徳川家にも納めていたらしい。
安政年間のコレラ流行事には大阪より600両(約4千万円)分もの薬草を仕入れたとの記録が残っている。
また、藩主の行列や長州征討の時には薬箪筒などをかつがせて従事したとのこと。
このような古き歴史を持つ大村薬局は400年近くもの長い年月鳥取を見詰め続けて来たわけで、湧出した地下水もこの時を待っていたかのごとく勢い良く湧き出している。
この井戸水は大村薬局の歴史も含め、古い鳥取の歴史を歩み蓄積されてきた地中の偉大なるエネルギーである。
そのパワーは人知の及ぶところではなく地下には沢山眠っている。
奥の深い地球の神秘を改めてまた感じさせられている。