温泉掘削

昨年夏より着手していた温泉工事。

お話しを頂き、現地踏査を行なったのは一昨年のことである。

敷地周辺を歩き、望ましい場所を探った。

その場所は温泉実績のない区域で、温泉を出すことが限りなく高い賭けとなる場所であった。

ただ手掛りとしたのは、以前その敷地で井戸を掘って出てきた地下水が少々温かかったことだけ、温いとは言っても一般的な地下水の温度よりは高い・・・という程度のレベル・・。

絶対温泉が出ると言い切れるわけではなかった。

とにかく施主の出したいという強い気持ちに我々は精力を尽すだけであった。

25mヤグラも基礎工事から全て自社で組み立てた。

このヤグラは創業当初から会社の歴史と共に歩んできたヤグラだ。

30年近く前、会長はこのヤグラに未来への思いを馳せたことでしょう。

掘削作業は弊社工事部長がマシンオペレーターとなり、作業を取り仕切って進めてきた。

工事はそれ相当の苦労や難関が立ちはだかったが、何とかその都度クリアし乗り越えていった。

昼夜の作業も行なった。

様々な難関に正面からぶつかっては乗り越え一つ一つ前に進めて行く。

孔を掘り、孔を保孔するためのケーシングパイプを挿入し目的とする温泉を目指すのみ。

とにかく施主の喜ぶ顔を思い浮かべながら毎日作業を行った。

そしていよいよ汲み上げが行なわれた。

苦労の末の集大成だ・・・。

汲み上げ用のパイプを挿入し、高圧コンプレッサーをセットし発電機のスイッチを入れた。

見事な温泉が湧出した。

心より願った本物の温泉である。

香りも最高!

あの苦労があったからこそこの温泉の高い価値がある。

掘った深さは900メートル

やれることは全てやり切った。

我々の仕事は見えない先と勝負する仕事・・・。

始めから答えなど分からない。

やった結果が答えなのです。

だから私達は許されるところまで気持ちを込めて最善を尽くすのみ・・・。

やりきった結果であれば裏切りにはならないと考えている。

ガーナでの井戸掘りの話しを持ち出すが

あの時は期限まで肉体が悲鳴を上げるまで掘り続けた。

本当に疲労困憊だった・・・。

だから水が出てくれて本当に良かった。

しかし、もし水が出なかったとしても

爽やかな気持ちで日本へは帰れただろうと思っている。

現実と向き合い全てを受け入れ

そして出し惜しみ無く、やれることは全てやる。

それがそこで出た本当の答えです。

さあ次の現場に向け

どんな作戦を練っていくかな・・・。